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【大阪大学・生誕1000日見守り研究】オンライン座談会:開催レポート

2020年6月27日(土)、大阪大学の産科医ほか先生方と妊婦さんのオンライン座談会を開催しました。

大阪大学「生誕1000日見守り研究」チームの産科・小児科の先生、助産師さん、臨床心理士さんらの先生と、妊娠後期の妊婦さんにご参加いただきました。妊婦さんから直接先生に質問をいただいたり、阪大保健学教授・助産師でもある松崎政代先生の「お産の進み方」のミニ講座も!

約1時間半の座談会の、一部をご紹介します。

妊娠後期のみなさんの疑問・質問に先生がお答え!

Q:コロナの影響もあり、陣痛室にひとりぼっちかも…
陣痛中は、どう過ごすのが良いでしょう

【助産師・松﨑先生がお答え】
お産のときは、不安が大きいと痛みも強くなりがちです。当日はリラックスするのが一番。事前に「お産の流れ」を知っておくと不安が軽減すると思います。

当日、リラックスできるよう、妊娠中に自分が安心できるポーズや環境をいろいろ試しておくのもよいと思います。

また、陣痛の間は、“寝たきり”で過ごすよりも、多少歩くなどするとお産が進むことがあります。たとえばトイレまで立ち上がって歩くことで、赤ちゃんが骨盤に降りてくることも。ぜひ試してみてください。

陣痛のときの、私のおすすめグッズは

  • ゼリー状のエネルギー飲料
  • テニスボール
  • 使い捨てカイロ

です。お産が進んでいく過程では、「大便をもよおすような感覚」があります。この感覚を堪えるのがなかなかキツイのですが、テニスボールの上にお尻を乗せることで、抑えられることがあります。使い捨てカイロは腰などを温めて痛みの緩和に使えます。

新型コロナの影響もあり、立ち合い出産ができず不安も大きいかもしれませんが、つらいときや何かしてほしいときは、遠慮なく助産師さんに伝えて頼ってみてください。

お産当日のイメージがわきにくい場合は、健診の時などに助産師さんに自分がご出産なさる産院のお産の様子や雰囲気を聞いてみるとよいと思います。

Q:よく「お腹が張る」と聞きますが、どんな感じかハッキリわかりません

【産科医・遠藤先生がお答え】

子宮は筋肉でできています。子宮がぎゅーっと縮む感じを「お腹が張る」と言います。妊娠後期のかたが、いま両手でお腹を触ってみて左右どちらかが固い感じがするのなら、おそらく赤ちゃんの背中がある側が固くなっていて、これは「お腹が張っている」とは違います。

両手でお腹を触ってみて、左右どちらもがぎゅっと固くなっているときは、お腹が張っていると考えてよいでしょう。

Q:新型コロナの影響もあり、妊婦健診の間隔があいています
早産が心配なのですが..

【産科医・遠藤先生がお答え】

早産については、たとえば前回のお産が早産だったかたや、妊娠20週ごろに子宮頚管(しきゅうけいかん)という子宮の入り口の長さを測定するのですが、子宮頚管が短めのかたは注意が必要です。

これらに当てはまらない場合は、妊婦健診がないときも、普段通りの生活で問題ありません。ただし、出血がある・お腹に痛みがある・おりものの様子がいつもと違う(黄色っぽい・においがある)ときは、迷わずにすぐに産院に連絡をしてみてください。

Q:「骨盤ベルト」って必要ですか?

【産科医・遠藤先生がお答え】

必ず全員がつけなければならない、ということではありません。たとえば、妊娠中に脚の付け根が痛むなどして歩きにくい場合に、「骨盤ベルト」で痛みがラクになることがあります。このような場合はつけてみるのもひとつの手です。

 

【助産師・松﨑先生がお答え】
妊娠中も産後も、足の付け根や恥骨が痛んだり歩きにくくなることがあります。「骨盤ベルト」や腹帯を、付けることで身体がラクになるのであれば付けていて問題ありません。

 

Q:お産で赤ちゃんが出た後が、イメージがしにくいです

【産科医・遠藤先生がお答え】

赤ちゃんが誕生すると、まずは小児科の先生に赤ちゃんの状態を確認してもらいます。その間に、産科医はお母さんの身体をチェックします。胎盤が無事に出るか・出血の量はどうか・傷はどの程度か(傷の程度によっては縫って治療します)などを確認します。

赤ちゃんの元気が確認できたら、赤ちゃんをお母さんに抱っこしてもらったり、おっぱいをあげてもらいます。

普通の分娩なら5日間程度、帝王切開のときは7日間ほど入院をしていただき、その間にもお母さんの身体の状態をチェックします。入院中は、子宮の戻りや悪露、出血の状態などを確認し、必要があればお薬を出して様子を見ます。問題がなければ退院です。

病院にもよると思いますが、約2週間後に再びお母さんと赤ちゃんに来院いただいて、お母さんは体の状態・傷の状態、そして、育児に疲れすぎていないかなど、心の状態も確認します。

さらに、1か月検診にもお母さんと赤ちゃんの元気を確認します。1ヶ月健診で問題がなければ、お母さんにはいつもの生活で大丈夫とお伝えします。

万一、身体に不調があったり、産後うつなどの可能性があれば、産科医だけでなく精神科の先生らにも協力してもらい、心と体のケアを行っていきます。

助産師・松﨑先生がお答え】
傾向として、生まれてすぐ~1時間以内は、おっぱいを吸ってくれる赤ちゃんがとても多いものです。小児科の先生が赤ちゃんの元気を確認できたら、できれば産後1時間以内にママのおっぱいを吸ってもらうことができるといいなと思いサポートしています。

産後1時間を過ぎると、多くの赤ちゃんはぐっすり眠ることが多いようです。

 

【小児科・北畠先生がお答え】

赤ちゃんが生まれるとすぐ、小児科医は赤ちゃんの元気を確認します。生まれてすぐに元気に「おぎゃー!」と泣いているかどうか、概ね1分後と5分後にチェックします。並行して、へその緒を切って止血もします。赤ちゃんの無事が確認できたらお母さんとご対面です。

赤ちゃんは誕生後、3~4日間程度は生まれた時よりも体重が減ることが多いのですが、入院中は、ミルクやおっぱいで体重が数日後から無事に増えてくるかどうか、そして黄疸の状態などを確認しています。入院期間に問題がなければ、お母さんと一緒に5~7日後に退院です。

Q:「いつ生まれてもOK」になったら、散歩はしたほうが良いですか?外が暑いので、迷います

【産科医・遠藤先生がお答え】

散歩をしなければ赤ちゃんが生まれないというわけでは決してありません。人類が誕生してからずっと、“赤ちゃんは時期が来れば生まれる”という何世代にもわたる大きな流れの中で、私たちも生まれてきました。

「どうしても〇〇をしなければ出産できない!」ということはないので、あまり身構えずにゆったり過ごしてください。

助産師・松﨑先生がお答え】
暑い日の散歩は無理をしないでください。散歩も運動も、妊婦さん自身が“気持ちがいいなぁ・心地よいなぁ”と感じるのが一番です。無理せずにご出産までのお腹の赤ちゃんとの時間を楽しく過ごしてください。

 

先生から、妊婦さんへのメッセージ

【産科医・遠藤先生からのメッセージ】

新型コロナウイルスの影響もあり、「立ち合い出産」「母親学級・両親学級」などが中止になるケースも多いようです。また、妊婦健診の回数が減ることもあるでしょう。

家で過ごしているときに、不調に感じたり気になることがあったら、迷わず産院に電話をしてみてください。

電話は夜でも早朝でもかまいません。出産施設の産科医や助産師さんは、夜中でも朝でも必ず誰か待機しています。医療スタッフも妊婦さんの変化は、早く知りたいと思っています。気になるときやいつもと違うと感じたときは、あと伸ばしにしたり自己判断をせずにすぐに電話をしてみてください。

そして、妊娠や出産はお母さんが、自分の身体と向き合う良い機会でもあります。ご自分の身体も大切にするきっかけとしてください。生まれてくる赤ちゃんは、お母さん・お父さんが元気でずっと側にいてくれることが、なによりも一番うれしいことです。

 

助産師・松﨑先生からのメッセージ】

お産のときはもちろん妊娠中や産後の日常生活についても、心配なことや疑問があったら助産師さんを頼ってみてください。

たとえば、おうちの中で赤ちゃんが過ごす場所・寝る場所はどこがいいのかな?と悩んだら、助産師さんに間取りを見てもらって相談してもよいと思います。赤ちゃんが快適に過ごせる場所を教えてくれると思います。

いまは新型コロナウイルスの影響で、お産にパパやパートナーが立ち会えないこともありますが、助産師さんは必ず近くにいます。助産師さんはお母さんと赤ちゃんの元気な出産をサポートするプロ!ぜひ出産当日も助産師さんを頼ってくださいね。

臨床心理士・管生先生からのメッセージ】

妊娠や出産は、特別な時間だと感じます。出産は、お母さんと赤ちゃんにとって一生に1度きりの貴重な時間です。みなさんの出産がよい時間となるよう、医療スタッフはもちろん、周囲のかたも心から祈っていると思います。

これから始まる子育てには、もしかすると大変なこともあるかもしれません。けれども、お母さんや赤ちゃんの元気や成長を、わたしたち医療スタッフはこれから先もずっと祈っています。「元気にしていらっしゃるかな」と心のどこかで気にかけています。

みなさんと赤ちゃんのこれからを応援している人がいることを覚えていていただけたらとてもうれしいです。

今回、座談会に参加した先生のご紹介

座談会には、大阪大学「生誕1000日見守り研究」チームの先生が参加しました。

遠藤 誠之(えんどうまさゆき)先生【産婦人科医】

大阪大学医学系研究科保健学専攻 生命育成看護科学 母性胎児科学教室 教授
専門は胎児診断・胎児治療

趣味は、モンゴルのホーミーと馬頭琴。マウンテンバイクで山道を走るのも好き。将来の夢は、屋久島で針治療の先生になること。

松﨑 政代(まつざきまさよ)先生【助産師】

大阪大学医学系研究科保健学専攻 生命育成看護科学講座 助産学・リプロダクティブヘルス教室 教授
専門は妊娠期の運動、地域母子保健活動

趣味は、温泉と銭湯・助産院めぐり。水天宮での腹帯会で妊婦さんに腹帯を巻くことが幸せ。犬が好き。将来の夢は、アジアの国で日本の助産を伝えること。

 

北畠 康司(きたばたけやすじ)先生【小児科医】

大阪大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター・小児科 准教授
専門は、新生児医療、ダウン症研究

12歳、10歳、2歳の3人のこどもの受験と育児に追われつつ、新生児の集中治療と退院したこどもたちの成長発達を見守っています。
週末のお父さんメニューに困ったら、鶏もも肉を2.5kg買ってきて一気に唐揚げにしてしまいます。

管生 聖子(すがおしょうこ)先生【臨床心理士】
座談会ファシリテーター

大阪大学大学院人間科学研究科 臨床心理学研究分野
専門は臨床心理学、周産期心理学とメンタルヘルス

趣味は、趣味は旅と自分が食べたいお菓子をつくること。バケツいっぱいのプリンを作って皆で分け合って食べるのが夢。

 

武田 理宏(たけだとしひろ)先生【内科医】

循環器内科医/ 阪大医療情報部所属
阪大医療情報部で病院の電子カルテを管理。病院のデータを患者さんに返す取り組みを行う。2児の父。

 

 

中本 剛二(なかもとごうじ)先生

大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 生命育成看護科学講座 特任研究員/みのお外国人医療サポートネット 事務局長
専門は文化人類学(医療人類学)、民俗学

文化・社会的な背景を踏まえたうえで、医療従事者と、患者さんや妊婦さん双方の視点から、医療におけるコミュニケーションの在り方や経験を考えていきたいと思っています。趣味は音楽(楽器演奏)ですが長期お休み中。犬の散歩でストレス解消。